スマートガバナンスCEOの羽深宏樹による論文「『AI規制論』のコペルニクス的転回──現代の一般的規制モデルの構築に向けて」が、「東京大学法科大学院ローレビュー」第19巻に掲載されました(2025年5月付)。本稿は、今後のAI社会におけるガバナンスのあり方を考える上で、極めて重要なインサイトを提供しています。◆ 羽深宏樹 「AI規制論」のコペルニクス的転回─現代の一般的規制モデルの構築に向けてこれまでの多くのAI規制論が、AIという「特別な技術」に着目し、そのリスクに対応するための新たな規制を構築しようとしてきたのに対し、本稿は全く逆の視点に立ちます。すなわち、AI規制として議論されている諸課題は、AIに固有のものではなく、デジタル化やグローバル化によって加速した社会の変容に伴い、既存のガバナンスに内在していた構造的問題がAIによって可視化されたにすぎない、という新しい認識を提示するものです。この認識に立てば、AI規制のアプローチとして議論されてきた手法に普遍的な意義を見出すことができます。具体的には、リスクベース・アプローチ、ハードローとソフトローの組み合わせ、共同規制、透明性・アカウンタビリティ、認証・監査、継続的な評価と改善といった手法は、AIに限定されるものではなく、複雑化する現代社会に応答する新たな一般的規制モデルとして再構築・展開されるべきであると論じています。本稿は、複雑化・高速化、産業構造の変化、不確実性の増大によって、伝統的な「法の支配」が及ばない領域が拡大し、トップダウン型ガバナンスが機能不全に陥りつつある現状を浮き彫りにします。そして、AI規制論に見られるマルチステークホルダー型・アジャイル型の規制設計が、今後の「法の支配」を実質化する手段、すなわち従来の法制度が対応しきれなかった複雑な現実に適応し、社会的な価値を実装する仕組みとなり得ると指摘します。AI規制で蓄積された知見をあらゆる分野に適用可能な規制モデルとして展開していくことで、規制の複雑化を抑制し、イノベーションと安全性の両立、さらには社会全体のアップデートへと繋がる可能性を示した、ダイナミズムあふれる本稿は、今後の政策立案や事業戦略を考える上での示唆に富んでいます。ぜひご一読ください。